鱒釣りが楽しめて、IELTSも受験できるところ、という条件にマッチするところはそれほど多くはなかった。もっとも実際にはそんなところ沢山あるのかも知れないが、自分で調べた範囲では、「ロトルア」という場所が理想的に見えた。大都市かつ飛行機の降り立つ場所であるオークランドから車で3時間程度の距離にあり、フライフィッシングでは高名な場所だ。おまけにロトルアからは、さらに高名なタウポ・ツランギへも日帰りで行こうと思えば行けなくもない距離だ。一方、語学学校にはIELTS集中コースなるものがあり、おまけにIELTS試験自体もオークランドまで出て行かなくても現地で受けられる様だった。
早速メールでロトルアの語学学校にコンタクトを取り、IELTSコース入学の条件や試験日について聞いてみた。IELTSコースは期間設定が試験日をターゲットにしているので、自分の思い通りに2ヶ月間みっちりIELTSコースで、というのは難しそうだったが「いきなり集中コースもキツイだろうから、最初の数週間は一般英語で肩慣らしすればちょうど良いでしょう」という先方からの提案に100%納得して、早速申し込むことにした。話が進むと、ホームステイはどうするかなど、学校側のスタッフがリードしてくれて、あれよあれよとホームステイ先も決まっていった。実は、これに先立ち語学学校紹介をしている現地の情報センターなどにもコンタクトはしてみたが、私の様にかなり自分で目的(釣り、IELTS、期間、場所など)を絞り込んでいる場合は、特にいまさら有益なものではなかった。私の要望に全く沿わないオークランドの学校をいくつか杓子定規に提案してくるだけだった。郵便物預かりや携帯貸し出しなどの便利サービスには少し食指が動いたが、それも考えてみるとホームステイするんだから意味ないな、せいぜい使うとしたら携帯レンタルくらいかな、という事で情報センターの使い方はこの時点ではっきりした。後に述べる現地銀行口座の開設にしろ、空港出迎え、郵便物預かりなど全ては最初の渡航時にホームステイから入れば全て解決なのだ。要するに住所がはっきりしてれば良いのだ。1週間でも2週間でも語学学校に入学してホームステイを学校に手配してもらいさえすれば、事前に心配する事は実はそれほどない。というか、ほとんどない。ので私はエージェントは携帯レンタル以外は使わなかった。
ただ、ホームステイに先立つ語学学校選びは私の様に特殊な事情(釣りができてIELTSが受けられる等)でも無い限り、沢山ありすぎて依然として悩ましいかも知れない。ちなみに、語学学校の「日本人比率」なる指標を気にする人が多いが、あれはどの道アテにならない。数字は常に変動しているし、情報センターといえども常に最新のデータを反映しているわけでもないようだ。おまけに、そんな数字は現地に行く頃には既に変わってしまっている。語学学校は非常に人の入れ替わりが激しいのだ。日本人比率の少ない学校を選んだつもりなのに、行ってみたらクラスの8人中5人が日本人!なんて事は良くある話だ。第一振り分けられるクラスによって、全然変わってくる。一般的には、初級者コースだと日本人・中国人などのアジア人は多いし、上級者コースだと日本人は少なかったりもする。なのでやはり重要なのは自分の目線であれこれ調べて、自分で学校を決めるというのが、結局は一番後悔しない方法だと思う。インターネットは勿論、非常に有用だ。Mixiには各学校のコミュニティが沢山立っているので、そういうところに飛び込めば、実際の卒業生や在校生の話が聞けて、より実態に即した、きめ細かな新鮮な情報が集められるだろう。Mixiにコミュニティが立っていて賑わっている様な学校はそもそも実績がある証でもあるので、あまり心配な事もない。日本人比率については、結局どこに行っても日本人はいるし、あまりそれを気にしすぎると、日本人は少ない代わりに中国人だらけ、という事もある。逆にヨーロピアン系の学生が多いところは大体決まっていて、それは調べればすぐにわかると思う。そういう学校が良い人は、逆にそれほど選択肢はないので、あれこれ迷う必要はないだろう。ただしヨーロピアン系は概して英語力は高いので、そういう人と同じクラスに入ろうと思ったら上級クラスにパスする必要があったりもする。日本人比率を気にする人は「せっかく英語の勉強するんだからなるべく日本語を話せない状況に自分を追い込みたい」という、ある意味とても真面目な気持ちなのは理解できるが、それだけ真面目な気持ちがあれば、自分から積極的に日本人以外の人と接するようにして友人になれば良いだけの事でもある。
そんなこんなで語学学校を決めた私は、空港への出迎えなど細々した事もメールで学校に相談した。先に書いたように情報センターから携帯をレンタルしようと思ったので、空港に降り立った後は一度シティに自力で行かねばならなかった。学校は、空港ではなくシティへの出迎えであればプラス30ドルくらいでやってあげると言ってくれたので、そうすることにした。シティへはタクシーで行けば良いだろうと安易に決めた。今考えるとAirバスを使ってシティまで出れば安かったのだろうが、やはり不安でタクシーでまかせっきりという安易な方法を選択したのだった。シティにある情報センターには携帯レンタルのアポを一応とっておいて、そのオフィスと、学校からの出迎えとの待ち合わせ場所も入念に地図でチェックして、大きな荷物を抱えての移動にあまり負担のない範囲で調整がついた。こういう細々した段取りをつけるのは生来苦手だったのだが、やってみれば、なんだ簡単だなという気がした。電話で学校と話しができればさらにスムーズだったのだろうが、そこまでは英語に自信もなかったし、やはりメールで行った。メールは書き文字なので、少々間違っていても言いたいことは明白に伝わるし、先方の表現ですこしわからなくても、じっくり読み直せるので、理解ができた。当たり前だが、インターネット、メールのおかげで世界は本当に近くなったんだといまさらながらに実感したものであった。もちろん、それまでにも仕事でもたまに海外とメールでやり取りはした事があったが、時差の大きな国なうえ、仕事だけにいつも気が急いていたせいか、かえってイライラしてそのメリットを充分に認知していなかったのである。だが、ニュージーランドとやりとりをやってみると、時差は3時間しかなく、こっちが朝一番でメールすれば、先方はお昼で、忙しい午前の業務が一段落した午後から返事を書き出すのか、その日の営業時間が終わるまでには返事をもらえた。返事をもらった時にはまだ日本では午後になったばかりという感じで、とても効率がよかったのに感動したのを覚えている。
さて、とりあえず3ヶ月のうちの前半2ヶ月は居場所が決まって、空港を降り立ってからホームステイ先へのアクセスも大体プランニングできた。お次はお金をどうやって持って行くか、という点であった。真っ先に思いつくのがトラベラーズチェック。現在ではニュージーランドドルのトラベラーズチェックは日本では買えなくなってしまったと聞くが、当時はまだ買えたのでとりあえずいくらか持っていく事にした。あまり旅なれない私としては、お金に関する不安は大きく、盗難や強盗、紛失してしまった時の事を考えて、なるべく、その形態と所持場所は分散することにした。TCだけでなく、クレジットカードは複数持って、日本円もいくらか持ち、さらには国際キャッシュカードも作っておいた。さらに、国際キャッシュカードも何かの間違いで使えなかったりしたら困るだろうなあと、心配になり、日本から事前に口座を開ける銀行で現地の口座も作り、送金しておいた。今考えると、何もそこまで(笑)と我ながら笑ってしまうが、当時は大真面目に色々と準備したものであったし、それもそれで楽しかった。
お金の持ち込み方としては、私はいまひとつ不安で使わなかったが、現地のエージェントなどが「円送金サービス」を提供している。現地レートで受け取れるのでお得!というのが売りな様だが、結局手数料はもちろん取られるので、トータルではレートが少しばかり日本でNZドルに換金したうえで送金する一般的な海外送金よりは多少有利な位に感じた。だが、そもそも会社の評判も見えない、相手の顔がわからない、そういうところに頼む勇気はなかった。
ちなみに現在では、個人でも現地に口座を作れば、日本から自分でその口座に「円建て」で送金できる様だ。要するにこれは自前の「円送金」だ。送金された時点で「現地のレート(手数料込みのレートなので市中のレートよりは少し落ちる)で」NZドルの口座に振り込まれるので、今や各エージェントが提供する「円送金サービス」のメリットはそれほど無い様な気もするが、あまり詳しくない(笑)。あるいは、いちいち自分で現地に口座を作りたくないという人にはエージェントの「円送金サービス」も依然として便利なのだろうか。私の場合、送金する額も大した事ないし、単に色々分散させておこうと思ったにすぎないので、それほど真剣にどういう方法が結局レート的に有利なのかは実は真剣に比較検討していなかった(笑)とはいえ、いずれにしても、せっかく日本で日本語で口座を開ける銀行があるので、移住やワーホリ、ロングステイなど長期滞在される方は日本から現地の口座を開いておいて損はなかろうと考える。そういう口座(日本から開く現地口座)でも日本から円建て送金ができるか、などについて口座開設申込時に日本語であらかじめ質問して、エージェントの円送金サービスなどとも比較検討するのは良いことだろうと思われる。ただ、最終的に現地での口座を開けるためには、現地の支店に自ら赴く必要があるかと思ったので、渡航前に円建て送金するのは無理かと思われる。なので、開設申込時には最低限だけ送金しておき、本格的な送金は、現地について口座を開けてから日本から家族などに円建て送金で送ってもらうというのが良いかも知れない。その際は何もそのNZの銀行の日本支店から送金する必要はなく、海外円建て送金手数料が一番安い銀行を使えばよい。ただ、実際にその時こういう方法を私自身が取った訳ではないので、実際にどれくらい有利なのかは、はっきりしたことが言えず、申し訳ない(笑)結局手数料分のレート上乗せを銀行にとられるかエージェントに取られるかの違いでしかないのかもしれない。自分で円建て送金する場合は、口座開設など面倒な事もあるが、相手が銀行そのものなので、安心感という点では上かもしれない。結局はそもそもレートとしてどちらが有利かよくよく計算したうえで、さらには安心感や自分の滞在期間なども考え合わせ、メリットデメリットをトータルで比較することが重要だろう事は言うまでもない。また、ここに述べた「自前の円送金」は、当然エージェントや雑誌社などからみると競合になる(それら企業自身が円送金サービスを提供している)ためか、情報が少ないのが難点ではある。
空港に降り立ってからの時間区切りの行動、お金の持ち込み方まで決まれば、あとは出発するだけである。次回からはいよいよ旅立ち編に突入する予定である。
(つづく)
2007年02月24日
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