2006年10月06日

万年筆生活 in ニュージーランド1

つの頃からか、古いものへの憧れというか、そういうものが芽生えてきた。古い江戸の情緒漂う煙草盆長持などの家具、三河内焼きなどの唐子文様の食器、古い釣道具、そして明治の頃の文明開化とともにやってきて当時は最先端のツールとして当時の文化人を魅了して止まなかった万年筆ペンなど。今のところ、幸いにもそれが生活を脅かすほどの本格的な道楽とまでは化していないが、それでも日本にいた時には、それなりに収集したものであった。本物の骨董は手が出ないので、古い物を模した現代のモノ、あるいは骨董価値のない手ごろに買える単なる古道具などが中心であった。ニュージーランドに移住してからは、アンティークやオークションが盛んなため、これまた色々な興味深い古いものに接することができ、それはそれで楽しい。目の保養という意味で。アンティークショップやオークションなどで、気に入ったモノがあった時に、以前であれば即買いくらいの値段であっても、今は買えない。生活がそれを許さない。なのでグッとこらえることになる。却ってストレスになるので、最近はあまりアンティークも見に行く事をしなくなってしまったもうやだ〜(悲しい顔)

ずれにしてもそういう古い雰囲気が漂うものが好きな私は、何時の頃からか何か書くときにはあえて万年筆を使うという事を無理矢理習慣にした。長い文章を書くときなど万年筆があきらかにシャープペンやボールペンに比して未だに優位をもっているという実用性もない事はないが、その点ですらコンピュータにはまるでかなわない。基本的には万年筆などを使うのは、現代では多かれ少なかれ「道楽」という事になろう。そんなプチ道楽の万年筆趣味を持つ私にとって、一つの重要な生活必需品としてインクというものがある。同じ万年筆でもインク一つで書き味も違えば、何よりも気分が違う。インクも様々なものを集めたものであった。飽きっぽく気分屋の私にとって様々なインクをつねにストックしていないと不安になるのだ。ニュージーランドへの移住を考えた際にも、真面目な話、真剣に心配したものだ。「かの地で好きなインクは買えるだろうか・・・・台風」と。日本は今は静か(でもないか)な万年筆ブームともいえる時代であるため、それこそ様々なインクが気楽に買える。そういう意味での文化は日本は間違いなく先進国であろう。だが、どう考えても日本より田舎のニュージーランドでそういう意味での文化の恩恵を享受できるとは思えなかったので、「やっぱりニュージーランドなんて田舎に行くのはやめるか」などと思ったことも一度や二度ではなかった。

際にニュージーランドに移住してきて多くの大きな書店や文房具店に行く度に万年筆とインクのチェックは欠かさなかったが、インクの品揃えはおろか万年筆自体の品揃えも貧相そのものであった。モンブランのブティックはあるので、モンブランに関してはそれなりだが、それだってニュージーランド全国で一つくらいしかないのではないかと思う。日本ではポピュラーという意味ではモンブランと双璧のペリカンですら、巨大書店以外では見かけたことがない。イギリス系の国であるため、パーカーが多いようだ。パーカーに関しては街の文房具屋さんでも見かけることがある。だが不幸な事にパーカーには万年筆自体もインクにもまったく関心のない私にとっては無用の長物である。ニュージーランドで買える万年筆用インクといっては、モンブラン、ペリカン、パーカー、ラミー、ウォーターマン、シェーファーくらいで、それらですら豊富なカラーバリエーションが揃っているわけでは全くない。モンブランに関しては前述のブティックがあるので良いのだが・・・。日本のパイロットやセーラーなどは勿論、陰も形もない。セーラー、パイロットはネットで探すと世界的に販売されている様で、世界の中でそれなりの地位を確立しているようなのに・・・。勿論、ネットショッピングでアメリカや日本から買うという事は可能だが、インクごときにあまりに高くついてしまう。ニュージーランドで文房具のネットショップを探して見たが、やはりパーカーが中心だ。こういう趣味の世界の工業製品に関してはやはり寂しい国だなと思ったものだ。インクに関してはモンブランのもの以外は日本に帰る度に調達してくるしかないという現状であり、この状況は少なくとも私が生きている間は変わりそうにもないと踏んでいる。

けば書くほど、ますます、ニュージーランドと万年筆の関係は希薄になっていくばかりだが、移住前のある日、思いも寄らないところでそれらがつながった。情報収集のためにニュージーランドと万年筆というキーワードでネットで検索して見たときに、見つけたのだ。その名も「マオリ万年筆ぴかぴか(新しい)」(笑)。メーカーはイタリアのデルタだ。イタリアとマオリには何の関係もないと思うのだが、よくよく調べてみると、イタリアのデルタ社が限定万年筆のシリーズの一つして「世界の原住民シリーズ」というラインナップを持っており、その中の一つとしてニュージーランドの先住民(原住民ではない)マオリがあったのだ。ほかには日本の「アイヌ」等もある。デザイン的には正直アイヌの方に食指が動いたがもともとイタリア万年筆は大概がデザイン的にゴテゴテしていて、それはそれでゴージャスで良いのだが、私自身はそれまでほとんど関心がなかった。だが初めてニュージーランドと万年筆の接点を見つけた私は嬉しくなった。衝動的に買おうとしたが、多くの限定万年筆と同様、値段がかなりのものであり、手が止まった。そうホイホイ買える値段ではない。移住に向けて余裕のない私には贅沢すぎた。そうは言っても、やっと見つけた接点をそう簡単にはあきらめられないので、将来の目標として心にとどめておく事にした。

「ニュージーランドの永住権が取れたら記念に買おう」と。

の伝でいけば、ニュージーランドではなく、北海道に移住していたら「記念にアイヌ万年筆を買おう」と言う事になってしまった事だろう。だが、それが限定万年筆の魅力でもある。自分の人生上のターニングポイントで人は何故か万年筆が欲しくなる(万年筆に限らないが)。そしてそのターニングポイントのインパクトが強ければ強いほど、普通のものでなく、よりプレミアム感のあるもの「限定」モノによって自分の人生を記念し、装飾したくなる。私の場合、タダでさえ万年筆趣味があったので、こういうものを見つけてしまってはイチコロハートたち(複数ハート)であった。ニュージーランドに移住しようかという人間としてはこういう物欲は捨て去った方が良い事はわかりつつも・・・。さらには、こういうプレミアム感を刺激する限定万年筆商売の戦略に見事にのせられているという事はわかってはいても、それは抑えきれない欲望となって、以後私の心に渦巻き続けた台風

(つづく)

posted by Dobby at 03:43| Comment(3) | TrackBack(0) | 万年筆 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントいただいたので早速遊びに来てみました。

三河内焼きってはじめの方にありましたが、長崎の三河内のことですか?
いや、私の実家が三河内にあったものでついつまらないコメントをしてしまいました。
失礼しました。

ランキング3つクリクリしときまーす。
Posted by カリフォルニアん at 2006年10月06日 17:01
僕が学生だった頃は「入学祝」や「就職祝」に「万年筆」を頂くというのが一般的だったと思うのですが、今はどうなんでしょう?
アンティークめぐり面白そうですね〜(僕はガレージセールでくらいしか買い物出来ませんが・・・)
Posted by どんどん at 2006年10月06日 19:36
>カリフォルニアんさん
そうです、そうです!長崎の三河内です!私は高いのは買えませんでしたが、ジッポのライターケースを買いました(唐子文様の陶器製ライターケース!)。ご実家があるんですかあ、唐子の焼き物とか安く手に入りそうですね、うらやましい!あ、クリクリ、有難うございます!私の方もクリクリしておきますね!

>どんどんさん
そうですね〜、今はもう廃れてしまった習慣かも知れませんね<万年筆で入学祝
でも日本で居た頃文房具を冷やかしていると、よく、いかにもそういう風なお祝いを買うといった風情の人はいっぱい見かけましたけどね。アンティークは「めぐる」というほどめぐっていません(笑)たまにアンティークショップを見かけるとフラッと冷やかしに入るくらいですね。結構どこにでもあるんですよね<アンティークショップ
Posted by 海外移住 at 2006年10月07日 03:50
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