「あー、やっぱり根がかりか。コンチクショー
一気に緊張が走り、竿を煽ってみると、やはり何かがうごめいている。「間違いない、魚だ!」と気付き、何の魚だろうかという考えが忙しく頭の中を駆け巡る。「ニジマスにしてはもたもたしている」と思い、「だが大きいのは間違いない」と感じ、「うーん、この鈍い手ごたえは、どんくさいナマズに違いない!
「・・・・。・・・・・・・。」
何か細長ーいのが水面で暴れているではないか。一瞬「あー、ウツボか
写真を撮ろうと思ったが、カメラを忘れてしまったことに気が付いた。しょうがないか、とハリを外そうと思って見てみると、巨大ウナギはすっかりハリを飲み込んでしまったようだった。「あー、これじゃ助からないから、もって帰るか」と、勝手に決め込んで、あっさりとリリースはあきらめ、写真も撮ってない事だし、もって帰ることにした。時計を見ると、バスの時間まであと5分しかない。ここから帰るためのバスは1時間に一本しかないのだ!あわてて釣り道具を片付け、ウナギを網に入れたまま岸にダッシュ。桟橋の上だとウナギがクネクネ暴れるので、それを抑えようとして湖に落ちたりしてもみっともないので、岸で落ち着いて処置することにしたのだ。岸について網から出してみると、やはりデカイ。太い。クネクネ暴れるので正確には測れないが、80センチは超えている。1メートルまではいってない様だ。それでも暴れるウナギを何とか丸めて、持ってきたスーパーのレジ袋に押し込んだ。
何とか、バスにも間に合って、乗り込んだものの、、、、クサい
ナマズとかライギョは空気呼吸も出来て、釣られてからもずっと生きているというのは知っていたが、ウナギもそうだとは知らなかった。まあナマズの親戚だからそういう事もあるだろうが。ウナギを食べるのが好きなマオリ族の言い伝えに、
「ウナギを釣った後、ウナギの頭を切り落として、カヌーの横なんかに捨てたりしたら恐ろしいことになるんじゃ。切り落とされた頭が胴体を慕って、湖の底まで追いかけていき、船もろとも沈んでしまうんじゃ」
というのがある。それほど生命力が強い生き物として畏敬されてきた偉い魚なのである。そんなウナギに、いきなりバスの中でカサカサっと動かれるとさすがにギョッとした。運転手が何か訝しげにバックミラーからこっちを見ている。私はその時、運転手の真後ろに座っていたのだ。とりあえず知らん顔をしておいたが、内心「おい、なんか今動かなかったか?生き物は社内持込禁止だぞ」とか言われないかとまたもヒヤヒヤである。だが、何とか無事にバス停についた。
家に戻ってみるとホストマザーはいない。とりあえずどうしたものかと、途方にくれながらも、とりあえず彼女が帰って来るまで、ウナギを生かしておこうと思った。何か調理法を知っているかもしれないし。そう思って洗濯用のシンクにとりあえず巨大ウナギを入れた。水を張ってみると、巨大ウナギは、やにわに息を吹き返し、クネクネと暴れだしてシンクから飛びでんとする勢いだ
その後の巨大ウナギの運命については、また機会があれば書くことにしよう。いずれにしても、今回の釣りでは、ナマズはまたまたオアズケだったものの、親戚のウナギ、しかも巨大ウナギを釣り上げる事に成功し、とても生産的な一日であった。チーズは彼らに対して強力な餌だという事も証明できた。夜行性であるはずのウナギが昼間に釣れたことで、同じく夜行性のナマズも昼間でも釣れない事はないという事もわかった。ナマズが釣れる日もそれほど遠くない。と思う。
(つづく)





